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ドンピシャの戦略を立てたレッドブルとチグハグなフェラーリ

フェルスタッペンが10番手スこタートからの大逆転で優勝したハンガリーGP。



ハンガロリンクは壁のないモナコと言われるだけあって中低速のコーナーの連続。



大方の予想では順当にいけばコーナリングに優れるフェラーリの2台が週末をリードするものと考えられていました。



今回の勝敗を分けたのは、紛れもなくタイヤ選択と交換のタイミングです。



今年に入って変わったタイヤルールと持ち込みタイヤ


ハンガリーGPでの上位勢のタイヤ戦略がどんなものだったか、の話をする前に今年から変わっているルールと、トレンドについて触れておきますね!



去年までは予選でQ3に進出した10台のドライバーは、 Q2でタイムを出した時のタイヤでスタート する決まりがありました。





しかし、このルールが今年から撤廃!


全車とも、スタート時のタイヤに縛りがなくなりました!



その為、今年からはミディアムタイヤをベースに考える作戦がほぼ定石のようになっていて、



そこから、ハードタイヤに変えるのが最早主流のタイヤ戦略になっています。



現在のタイヤコンパウンドは固い順にC1からC5まであり、グランプリによって連なった3つのコンパウンドが基本的に持ち込まれています。(一部例外あり)



その3つのコンパウンドのうち、1番柔らかいものをソフト、中間のものを、ミディアム、1番固いものをハードと呼んでいるわけですが、




レース終盤にセーフティカーが入るなどして、急遽残り周回をソフトで走ることになった場合などを除いて、


元々の戦略としてソフトタイヤを活用したレースは


ハンガリーGPを迎える前までの12戦で、1番固い組み合わせのタイヤ(C1〜C3)が持ち込まれたバーレーンGPとスペインGPだけなんですね!



それくらい今年に入ってからソフトタイヤの活用はされなくなっているんです!



ただ、ハンガロリンクの週末を除いて、、、


ハンガリーGPはC2〜C4の中間の組み合わせ)



レッドブルはレコノサンスラップでハードは使い物にならないと判断



予選でトラブルや不運もあって、10、11番手スタートになったレッドブルはどのような戦略で上位を切り開くか考えていました。



そこで彼らは当初、ハードタイヤでスタートして第1スティントを長く走ってチャンスを待つ作戦を取ろうとしていたのです!



しかし、ガレージを出てダミーグリッドへ向かう途中のレコノサンスラップでレッドブルの戦略は大きく変わることに。



時折、小粒の雨も落ちるような曇天で低温のハンガロリンクのトラックは、ソフトタイヤですら、まともにグリッドを感じられないレベルのコンディションだったのです!



これを受けてハードタイヤは今回のレースでは使い物にならないと判断し急遽ソフトとミディアムで戦い切る作戦に変更!


そして、タイヤの選択もタイミングも見事にドンピシャで逆転優勝をもぎ取ったのです!






上位6台のタイヤ使用遍歴



ドライバー タイヤ使用履歴 周回数
フェルスタッペン ソフト(中古) 17周
ミディアム 22周
ミディアム 32周
ハミルトン ミディアム 19周
ミディアム 32周
ソフト(中古) 21周
ラッセ ソフト(中古) 19周
ミディアム 23周
ミディアム 31周
サインツ ミディアム 17周
ミディアム 30周
ソフト(中古) 26周
ペレス ソフト(中古) 18周
ミディアム 24周
ミディアム 28周
ルクレール ミディアム 21周
ミディアム 18周
ハード 15周
ソフト(中古) 19周



上位6台のハンガリーGPでのタイヤ使用履歴はこのように。



ん???



レッドブルが今回は使用はありえないと言っていたハードタイヤを使っているドライバーが居るではないか!



そう、ルクレール、、、


元々、高温の時にタイヤの保ちに分があるフェラーリは、裏を返せば低温時に作動温度まで上げるのに他よりも苦労する側面があると思う。



案の定、ラップタイムは上がらずマックスに抜かれ、迫り来るメルセデスの2台にも抜かれてしまいます。




しかも、アルピーヌの2台が1ストップ作戦を狙ってハードを使い、そのタイムも好ましくないのが分かっていながらだ。



おまけに、そのハードタイヤに見切りを付けて3度目のピットインでソフトに変えるというチグハグっぷり。


元の順位に戻れることなく6位でフィニッシュした。


疑問はハードタイヤの使用だけではありません。



誰よりも長く第1スティントを引っ張ってタイヤを変えたにも関わらず、そのタイヤを早々に捨てたこと。


フェルスタッペンが2回目のタイヤ交換を行なってアンダーカットしてくることに反応した結果がこれです。


フェルスタッペンを"見すぎた"
これに尽きるかと思います。



レッドブルメルセデスの4台のタイヤの使い方を見ると分かると思いますが、



タイヤを使う順番に違いはあっても、その内訳はだいたい一緒。



フェラーリだけが、ルクレールにハードを履かせてみたり、サインツに中古ソフトで26周もさせてみたり。    



その日のコンディションによるタイヤの働きを理解せずチグハグな戦略で、勝てるか若しくは表彰台には上がれたであろうレースを落とした。。。。。




対象的なのは、フェルスタッペンとハミルトン。



フェルスタッペンは、 優秀な女性ストラテジスト であるハンナ・シュミッツを大絶賛し感謝を述べました!


10番手スタートから、見事にトップに返り咲く作戦を積み上げ、フェルスタッペンもそれに応えた!



彼らは"自分達のレースをした!



レースをゴールまでのタイム競争として見た時に、どの作戦が一番早くゴールまで到達出来るかを考えた。



そして、コース上で出会うマシンに関してはフェルスタッペンとハミルトンに全てを託した。



チームとドライバーが一体になって 、なし得た大逆転優勝とだと思います!!


表彰台前のクールダウンルームではハミルトンがレース中の映像を見て、「彼らはハードタイヤを履いたの!?」と驚きのリアクションをしていました。。。



去年バチバチにタイトルを争って、時に会心のピット戦略で完全に相手の動きを封じたり封じられたりしてやりあった2つのチームの上手さ、強さ。



この強かさが、跳ね馬軍団にも欲しいところでございます。